地方都市が抱える介護職の問題と現状

地方都市の人口減少は大きな問題となっています。過疎化や農家の後継ぎ問題、空き家の問題も解決の糸口が見えていないのが現状です。その中でも深刻なのが介護職です。若い世代が都心部へ移住してしまい、地方の介護施設で働く介護職員が不足しているのです。介護施設では職員の高齢化が進み、十分なサポートが出来ていない事業所が多くなってきています。中には人材不足のために経営が困難になり、施設ごと閉鎖せざるを得ないところもあります。

そうやって介護施設が減ってしまうと、介護が必要な人は都心の施設に移転されることになります。そうして都心の施設がどんどん忙しくなり人手が集中し、地方はさらに過疎化が進むという悪循環ができあがってしまうのです。過疎化によって多くの問題が起こります。まず、公的事業の予算が減るということ。人口が減るということは、税金を払う人が減るということです。そうなると自治体が公的サービスや医療に使えるお金が減ってしまいます。その結果、医療や教育の質が低下し、さらに出ていく人が増え、移住してくる人が減ってしまうのです。

介護施設が減ることによって、競争が減ってしまうという問題もあります。都内の介護施設はどこも、少しでも入居者を増やすためにサービスの質の向上を行っています。努力を怠れば、他の施設にお客を取られてしまうからです。しかし、過疎化が進んだ地域では競争相手がいません。その結果、低品質なサービスでも商売が成り立つようになってしまうのです。国や自治体が対策を行っていますが、本格的な改善が見られるのは当分先になるでしょう。